[東京 27日 ロイター] 2010年3月期業績予想の上方修正が相次いでいるが、マーケットはシビアに市場コンセンサスとの比較をしている。前期の増益予想はかなり株価に織り込まれており、上方修正といえどコンセンサスを下回った決算にはネガティブな反応を示す。
11年3月期も大幅な増益が予想されているが、現時点の予想株価収益率(PER)は30倍強と、ある程度の増益を織り込んだ水準といえる。需要をけん引する中国の金融引き締め懸念などもあり、「大幅増益」というだけで買いに走れるほど楽観的にはなれないようだ。
<明暗を分けた日立製作所<6501.T>とキヤノン<7751.T>>
この日明暗を分けたのは日立製作所とキヤノン。キヤノンは12月決算だが、第1?四半期終了時点で早くも通期の業績予想を上方修正してきた。デジタルカメラやオフィス用のレーザープリンターが好調で従来3300億円としていた営業利益予想は3600億円に引き上げられた。市場では「ユーロの想定レートを円高方向(130円から125円01銭)に修正しながらも業績予想を上方修正したことで堅調な販売が続いていることをうかがわせる」(証券ジャパン?調査情報部長の大谷正之氏)と評価する声も出ていたが、同社株は前場で20円安(0.46%安)とさえない。
一方、日立製作所<6501.T>はFOMCやGSの公聴会を控え全体相場が上値を重くするなかで、連日の年初来高値更新と UGG
なった。26日に2010年3月期の通期連結業績(米国会計基準)予想を上方修正したことが好感された。
キヤノンは今期の業績上方修正、日立は終了した前期の上方修正だ。キヤノンの方がポジティブな株価反応となりそうだが、実際は逆の動きとなった。ともに業績期待から株価が上昇してきており、利益確定売りが出やすい状況には変わりない。むしろキヤノンは高値水準だが5日に付けた年初来高値を抜いていない一方、日立は連日の年初来高値更新と売りが出やすいといえる。直近の信用倍率もキヤノンが0.58倍、日立が2.18倍とキヤノンの方が需給妙味がある。
<シビアにコンセンサス比較>
明暗を分けたポイントは市場コンセンサスとのかい離にある。日立の10年3月期営業利益の市場予想は1500億円程度であり、2000億円まで引き上げられた予想に、市場では「株価は大きく上昇してきているが、コンセンサスを上回る上方修正だ。HDDの好調さをみれば11年3月期の営業利益見通しは3000億円程度まで引き上げられるのではないか」(外資系証券)との声が出ていた。
一方、キヤノンの営業利益予想は3600億円と市場予想の3712億円を若干ながら下回った。「今期予想は徐々に上方修正される可能性もある」(国内証券)との指摘もあるが、現時点でのコンセンサスに対する下方かい離がネガティブ材料視された格好だ。
今期予想される増益を織り込むなかで株価は高値を目指すとの見方も多いが、現時 アグ
点では業績好調であってもコンセンサスを下回ればいったんは売り材料視されることを想定しておく必要があろう。
三菱UFJ証券?投資情報部長の藤戸則弘氏は「マーケットは11年3月期業績も相当部分を織り込んでいる。PERが30倍強と先進国の中でも突出して高いのは今期の大幅増益を予想しているためだ。会社側も当初は控えめな業績予想を出すとみられるが、コンセンサスを下回ればいったん売られる可能性が大きい」と述べている。
<営業利益だけではない比較対象、中国需要には慎重な見方も>
コンセンサスとの比較対象は営業利益だけではない。当期利益との比較でも厳しく「査定」される。代表的な中国関連銘柄の日立建機<6305.T>。中国やインドなど新興国向け需要の拡大が支えとなる見通しで、2011年3月期連結営業利益予想は前期実績から約2倍となる400億円と市場予想の397億円と同水準となった。だが、当期利益予想が70億円とコンセンサスの160億円程度に比べ大きく下回り、前場の同社株は74円安(3.46%)の2063円と大きく沈んだ。
インド子会社の連結化によるのれん代などが計上されるためだが、市場は「それを除いても少ない印象」(別の外資系証券)と厳しい。
日立建機の前期では全地域が落ち込む中で中国向けは33%の伸びを記録。今期も23%増を見込んでいる。市場では「中国は金融引き締めで景気を腰折れさせてしまっては雇用問題や格差問題などが噴き
出してしまう。過度な引き締めは行わないだろう」(みずほ証券?エクイティストラテジストの瀬川剛氏)との見方が多いが、それでも「過熱する不動産市場を抑えるための抑制策はとられそうだ」(瀬川氏)とみられている。
実際、中国の上海総合株価指数は年初から8.45%下落。日経平均が4.79%、米ダウが5.86%上昇しているのとは対照的だ。金融混乱後、4兆元の財政政策を真っ先に打ち出し先進国に先んじて景気を回復させてきた中国だが、これまでのハイスピードには変化が出てくる可能性が大きい。
政策効果で景気や企業業績が回復する一方で超低金利政策が継続され、株価には好環境が続いているが、政策効果が薄れた後の景気の持続性を株価にどう織り込んでいくかが今後の大きな注目ポイントだ。
(ロイター日本語ニュース 伊賀 大記記者 編集 橋本浩)
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